冬になれば住宅の1階部分まで雪で埋もれてしまうほどの積雪のあるこの地域。長年この地域で暮らした施主の導き出した解答は2階リビング。見晴らしや採光を考慮した場合は理想的な2階リビングだが、欠点は階段の昇り降り。その欠点を克服するため、なるべく階高を押さえた計画とした。具体的には蹴上20㎝の13段で2.6mの階高である。一般的な家からすると40㎝くらいは低いと思われる。冬場の室温を確保するのに必要な断熱は、柱間の断熱とその外部にもう一度断熱材を施工するダブルの断熱で外壁を全て覆っている。屋根勾配に沿った屋根断熱は2階の天井空間を室内側として利用できるため、桁行き高さを抑えつつも十分な室内空間を確保することが出来るとともに、視覚的変化ももたらしてくれるため、私の住宅設計の基本的な手法の一つである。この家は土間、中間とロフトの収納を含めると実に5層の構成となっている。フレームは大変複雑ではあるが、その分収納力も多く、暮らしやすいのではないだろうかと考える。